オイルの違いを「成分」で徹底比較! オメガ3・抗酸化物質…本当に体に良い油はどれ? オイル徹底解説第二弾
前回の記事(オイル徹底解説第一弾)では、「揚げ物にはこのオイル」「ドレッシングにはこれ!」といったように、料理の用途別にオイルの使い分けをご紹介しました。
しかし、なぜオイルによって適した用途が違うのでしょうか?
「オリーブオイルが健康に良いとされる理由は?」 「なたね油や米油と、成分的に何が違うの?」
こうした疑問を解決するため、この記事では「オイルの成分・栄養素の違い」を徹底的に深掘りします。オイル選びの「なんとなく」を「なるほど!」に変えるための、栄養学的なガイドです。
そもそも「オイルの違い」とは?
私たちが「オイル」と呼ぶものの主成分は「脂質」です。その脂質を構成している「脂肪酸」の種類とバランスこそが、オイルの個性を決める最大の要因です。
オイルの「違い」を決めるのは、大きく分けてこの2つの要素です。
- 脂肪酸のバランス(オメガ3, 6, 9の比率)
- 微量栄養素(ビタミンE、ポリフェノールなど)
今回はこの2つの観点で、主要なオイルを比較していきます。
最大の違い!「脂肪酸バランス」で比較
脂肪酸は、化学構造によって「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」に分けられます。
- 飽和脂肪酸 (SFA):バターやラードなど動物性脂肪に多く、常温で固まりやすい性質があります。摂りすぎは健康リスクが指摘されており、公的機関も摂取量を控えるよう推奨しています。
- 不飽和脂肪酸 (UFA):植物油や魚油に多く、常温で液体です。健康維持に良い影響があるとされ、飽和脂肪酸の代わりにこちらを摂ることが推奨されています。さらに「一価(MUFA)」と「多価(PUFA)」に分かれます。
ここが最も重要なポイントです。 不飽和脂肪酸(UFA)は、さらに「オメガ9」「オメガ6」「オメガ3」に分類されます。
MUFA(オメガ9)主体のオイル
特徴: 酸化に強く、熱にも比較的安定。悪玉(LDL)コレストロールを下げる働きで知られる「オレイン酸」が主体です。
- オリーブオイル:成分の約70%以上がオレイン酸。地中海式食事法の主役であり、健康効果に関する研究が最も豊富なオイルの一つです。
- なたね油(キャノーラ油):オレイン酸が約60%と豊富。さらに後述する「オメガ3」も含む、非常にバランスの取れた優等生と言えます。
- ハイオレイックひまわり油:品種改良によりオレイン酸を80%近くまで高めたひまわり油。酸化安定性が抜群に高いため、揚げ物や業務用の定番となっています。
PUFA(オメガ6)主体のオイル
特徴: 体内で作れない「必須脂肪酸」である「リノール酸」が主体。ただし、現代の食生活では過剰摂取になりがちなのが難点です。
- グレープシードオイル:成分の約60〜70%がリノール酸(オメガ6)。クセがなくサラッとしていますが、オメガ6の比率が非常に高いオイルです。
- ひまわり油(従来種):ハイオレイック種でない従来型は、リノール酸が60%以上を占めます
- ごま油:オレイン酸とリノール酸がほぼ半々(約40%ずつ)というバランス型です。
PUFA(オメガ3)を含むオイル
特徴: 青魚に多いDHA/EPAの"親"にあたる「α-リノレン酸」。炎症を抑える働きなど健康効果で注目されますが、現代人には最も不足しがちな脂肪酸です。
- なたね油(キャノーラ油):植物油の中では珍しく、オメガ3(α-リノレン酸)を約8〜12%含みます。これは非常に大きなメリットです。 (※亜麻仁油や、えごま油はオメガ3が50%以上と突出していますが、熱に弱く用途が限定されるため今回は比較対象から除外します)
熱に強い・弱いは「脂肪酸」で決まる
第一弾の記事で「揚げ物にはなたね油や米油が向く」と紹介しましたが、その理由も成分(脂肪酸)にあります。
脂肪酸は、種類によって熱への耐性が異なります。
- 熱に弱い: オメガ3 (PUFA) > オメガ6 (PUFA)
- 熱に強い: オメガ9 (MUFA) > 飽和脂肪酸 (SFA)
つまり、不飽和の度合いが高い(=オメガ3やオメガ6が多い)オイルほど、熱によって酸化しやすいのです。
例えばグレープシードオイルは「煙点(煙が出る温度)」自体は高いのですが、主成分であるオメガ6(リノール酸)は熱に強くありません。そのため、長時間の揚げ物よりはサッと炒める程度か、ドレッシングに使うのが理にかなっています。
一方、オメガ9(オレイン酸)が主体のオリーブオイルやなたね油、そしてバランス型の米油は、加熱調理にも安心して使いやすいオイルと言えます。
健康の「+α」!微量栄養素で比較
オイルの価値は、脂肪酸バランスだけではありません。特に「未精製(コールドプレス)」のオイルには、原料由来の素晴らしい微量栄養素が残っています。
- オリーブオイル (EVOO):ポリフェノール類(オレオカンタール等)が豊富。エクストラバージンオリーブオイルの独特の辛味や苦味は、この抗酸化物質の証です。
- ごま油:リグナン類(セサミン、セサモリン)。ゴマ特有の抗酸化成分で、健康食品としても有名です。
- 米油(ライスブランオイル):γ-オリザノールやトコトリエノール(ビタミンEの一種)。米ぬか由来の貴重な成分で、オイル自身の酸化安定性を高めています。
- パンプキンシードオイル:ビタミンE(特にγ-トコフェロール)が豊富です。さらに、亜鉛やマグネシウムといったミネラルや、ポリフェノール類(ロズマリン酸など)も含まれる点が最大の特徴です。
これら貴重な微量栄養素は、精製される過程で多くが失われてしまいます。 だからこそ、風味や栄養を丸ごと摂りたいサラダや料理の仕上げには、「エクストラバージン」や「コールドプレス」のオイルを選ぶ価値があるのです。
まとめ:成分・栄養から見たオイルの選び方
結局、どのオイルを選べば良いのでしょうか? 成分の違いを踏まえた選び方の指針をまとめます。
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高温の加熱調理(揚げ物・炒め物)用:
なたね油、米油、ハイオレイックひまわり油。
理由:オメガ9(MUFA)が主体、または脂肪酸バランスが良く、熱に安定しているため。
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生食・仕上げ・中温調理用:
エクストラバージンオリーブオイル (EVOO)、パンプキンシードオイル、ごま油。
理由:脂肪酸だけでなく、ポリフェノールやビタミン、ミネラルなどの「微量栄養素」を非加熱で効率よく摂取したいため。
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バランスに注意が必要なオイル:
グレープシードオイル、従来種ひまわり油。
理由:オメガ6の比率が極めて高い。これらを使う日は、意識して青魚やなたね油(オメガ3)を摂るなど、食事全体でバランスを取ることが重要です。
オイルに「絶対的な正解」はありません。 熱に強いオイルと、栄養豊富な仕上げ用オイル。それぞれの成分の違いを理解して「使い分ける」ことこそが、最も賢いオイルとの付き合い方です。
栄養を「仕上げ」で摂るなら。Cirportのパンプキンシードオイル
ここまでオイルの成分について解説してきましたが、「仕上げにかけるオイル」として、Cirportが特におすすめするのが、自社で輸入しているパンプキンシードオイルです。
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農林水産省のガイドライン
この記事が、日々のオイル選びの参考になれば幸いです。
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